ジュゼッペ・ヴェルディの作曲で、原作はスペインの劇作家アントニオ・ガルシア=グティエレス。戯曲題名は『シモン・ボカネグラ(Bocanegra)』で、c が一つ。
第2幕のロベルト・フロンターリ(シモン:バリトン)、イリーナ・ルング(アメーリア実はシモンの実の娘マリア・ボッカネグラ:ソプラノ)、ルチアーノ・ガンチ(ガブリエーレ:テノール)の三重唱は哀しみと後悔と安堵と愛とが絡み合って、感動的な歌唱であった。音楽(大野和士指揮・東京フィルハーモニー交響楽団)も過不足なく寄り添うように演奏され心に染みとおった。
第3幕海辺の場では、アメーリア=マリア・ボッカネグラの祖父ヤコブ・フィエスコ(リッカルド・ザネッラート:バス)が現われ、毒を飲まされて死が迫ったシモン・ボッカネグラと第1幕での対立から、和解の二重唱、ここも重く心が揺さぶられる。
美術・装置で印象的だったのが、吊るされた逆さの火口のような黒い岩塊、絶えず噴煙を噴き出している。愛と憎悪の情念を秘めた人間の心の深層でもあり、権力闘争を繰り返す人間世界を危うくさせている基底の〈マグマ〉でもあるのか、暗示するところは面白い。
アニッシュ・カプーアによる『シモン・ボッカネグラ』の舞台美術。
— 新国立劇場オペラ New National Theatre Tokyo - Opera (@nntt_opera) 2023年11月21日
これまでの彼の歩みを彷彿とさせる、赤と黒を基調とした造形をはじめ、”カプーアらしさ”満載のセットが、歌唱、管弦楽と一体となって『シモン・ボッカネグラ』の世界観を構築します。… pic.twitter.com/iQB5qU9Stp
本日も『#シモン・ボッカネグラ』へのご来場、誠にありがとうございました。温かい拍手にカーテンコールが長い間続きました!公演は本日で折り返し、残る上演は23日(木祝)・26日(日)14:00の2回です。集中力漲る上演をどうぞどうぞお見逃しなく!#新国シモン pic.twitter.com/sMuo327f7Q
— 新国立劇場オペラ New National Theatre Tokyo - Opera (@nntt_opera) 2023年11月21日
『シモン・ボッカネグラ』(新制作)11月18日(土)公演より、公演ダイジェスト映像をお届けします。
— 新国立劇場オペラ New National Theatre Tokyo - Opera (@nntt_opera) 2023年11月22日
公演は残すところ
11月23日(木)14:00~
26日(日)14:00~
(予定上演時間:約2時間50分)の2回。最上のキャストが揃ったこの公演、どうかお見逃しなく。#シモン・ボッカネグラ #新国立劇場オペラ pic.twitter.com/nEqeEe4rKM