高橋甲子男展を観る


 昨日3/19(日)は、午前中京成市川真間に出向き、真間川を渡って市川市芳澤ガーデンギャラリーの高橋甲子男展を観て来た。市川市主催の市川の文化人展の一企画である。1968年制作の作品から2017年初めて描いた自画像まで、多年にわたる多彩な油彩画と、数点の銅版画が展示されていて壮観であった。庭には、色彩鮮やかな二つの立体作品も置かれていた。全体に、青・緑・ピンクの色の響宴が目立った。出身地の南房総の風土を反映しているのだろうか。入ってすぐのところには、昔お馴染みであった毛皮の触感を視覚化した作品が掲げられていて、懐かしく感じた。第3展示室には、水墨画の絵巻物と、画伯装幀になる、主として葉山修平氏の小説の本が多数陳列されていた。小生の『十一の短篇』(菁柿堂)もそっと置かれてあって感激した。感謝。
 抽象と具象のせめぎ合いを通して、この作家得意なエロスとアニマの受肉が試みられているとでもいえようか。二つの展示室とも真ん中にソファが置かれてあり、変形性膝関節症の我が身にはありがたかった。この施設は、2002(平成14)年3月に芳澤月恵氏から寄贈された土地と庭を利用して、庭を生かした「芳澤ガーデンギャラリー」として、市川市が整備しオープンした、とのことである。なるほど庭には、ハナニラが咲き乱れ、スイセンユキヤナギ、椿、そして一本の寒桜が花を咲かせていた。
 http://www.tekona.net/yoshizawa/institution.php(「市川市芳澤ガーデンギャラリー」)