国民学校初等科国語二教科書より

二十二 春の雨

 もえて明かるい若草に、
 しとしと、細い雨が降る。
 雨はこぬかか、糸のやう。

 ここは川ばた、やなぎの芽、
 ぬれて、しづくが落ちるたび、
 ひろがる波のわがまるい。

 春は春でも、まだはじめ、
 村から町へゆるやかに、
 少しにごって行く水よ。

 卵のからを浮かべたり、
 わらの切れはし浮かべたり、
 えびやめだかも、泳がせて。

     ※この詩の作者名は不詳。 

【出典・参考】
 http://www.geocities.jp/sybrma/index.html(「小さな資料室」)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1317696.htm
  (「国民学校令の公布:文部科学省」)


⦅写真は、東京台東区下町民家の、上ハンネマニア(Mexican tulip poppy)、下紫陽花七段花 。小川匡夫氏(全日写連)撮影。コンパクトデジカメ使用。⦆