「茂吉忌」に


 わが家の庭の梅の木も白い花を咲かせている。昨日2/24(月)右下に違和感あり歯科医院で診てもらったところ、奥から3本目の銀のクラウンの根元が割れてしまっているとのこと。昨年春に続いてまた抜歯である。今度は両側がまだしっかりしているので、ブリッジになりそう。からだのことは、なるようになるしかならないだろう。「茂吉忌」に寄せて、歌集「寒雲」(『齋藤茂吉全歌集』筑摩書房)から、「梅」(五首)の5首と「春寒」(十首)の2首の歌を採録したい。
 近よりて笑(ゑま)ひせしむることなかれ白梅の園にをとめひとり立つ
                ※ゑまふ=えまう:ほほえむ。花が開く。
 くれなゐににほへる梅が日もすがら我が傍(そば)にあり楽しくもあるか
 梅が香のただよふ闇にひとりのみ吾來れりや獨りにやはあらぬ
 戀ひおもふをとめのごとくふふめりしくれなゐの梅をいかにかもせむ
                ※ふふむ=花や葉がまだ開かないでいる。
 きはまりて障(さや)らふものもなかりけり梅が香たかき園のうへの月
              ※さやる=さまたげられる。さしつかえる。
                      —以上「梅」(五首)より
 入りかはり立ちかはりつつ諸人は誇大妄想をなぐさみにけり
 むらぎもの心にひそむ悲しみを發(あば)きながらに遊ぶといふや
 まぼろしに現(うつつ)まじはり蕗の薹萌ゆべくなりぬ狹き庭のうへ
 冬がれて伏しみだれ居る山羊歯を切りとりて棄つ春は來むかふ
                      —以上「春寒」(十首)より
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20120425/1335331595(「庭で茂吉を読む」)