統計数値の比較:新型コロナ感染による死者数について

    日本共産党山下副委員長の上記の統計数値比較は、ただただ現政権を酷評したい意図から(のみ)とはいえ乱暴である。まずこの感染による死者がどの年齢層に多いのかを見る必要がある。

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       (引用は、https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000716059.pdf  )

 2021(令和3)年1月時点での厚生労働省発表による数値によれば、感染による死者は60代・70代・80代とくに70代以上の高齢者に大きく偏っているのが分かる。したがって高齢者人口の多い国の死者数が多くなるのは、とりあえずはとうぜんと言えるだろう。

www.stat.go.jp

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 総務省統計局の数値(2021年)によれば、日本は、65歳以上の高齢者人口(推計値)が3621万5千人、(2018年は)3557万人で世界断トツの1位、その総人口中の割合(2018年)でも28.1%と、2位イタリアの23.3%を引き離し、(アジアでは)韓国の14.4%のほぼ倍、75歳以上に限れば、日本14.2%、韓国6.0%である。〈全体主義的〉管理・統制度の高いマイナンバーカード利用によって新型コロナ感染症対策に功を挙げている(らしい)韓国と、統制度が格段に弱いマイナンバーカードすら導入不能の日本とを単純に比べて、日本叩きをするのは〈いかがなものか〉。

diamond.jp

 かつては北欧諸国を理想の国家として称揚することが多かったが、このところはニュージーランドがまるでユートピア国家のように持ち上げられる。こちらはアイスワインは呑みたいと思うが、とくにニュージーランドについて関心はない。調べると、全人口だいたい500万人で、(65歳以上の)高齢者人口割合が16%あるので、国連定義(14%以上)による高齢化社会ということになる。しかし人口数の分母が日本と比べて甚だ少なく、これで比較はどうか。ニュージーランドの人口密度は、1平方kmあたり18.1人、対して日本は335人。感染対策で3密を避けるべし、とあるが、(田舎は別にして)街も老人ホームも居酒屋もカラオケ店も、日本人は狭い空間に密集して行動・生活しているのである。比較などできるものではない。
 やはり経済環境が近い欧米諸国との比較がいちばん意味があり、日本の対策の是非を評価するときに重要であろう。