ロジェストヴェンスキーのLP

 ロジェストベンスキーさん死去 指揮者で60年以上活躍:朝日新聞デジタル
 ロシアの著名指揮者ロジェストベンスキー氏が死去、87歳 - 芸能社会 - SANSPO.COM(サンスポ)


 昔は一時期読響の会員として定期演奏会にはまめに足を運んでいたが、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(Gennady Rozhdestvensky)指揮の生演奏は聴いていない。LPを何枚か所蔵し、聴いている。モスクワ放送交響楽団を指揮した、R.シュトラウスの『交響詩英雄の生涯』(日本ビクター)と、プロコフィエフの『交響曲第5番&第1番「古典」』(日本ビクター)は、あまり聴いていず、もっぱらよく聴いたのは、パリ管弦楽団を指揮したLP(東芝音楽工業)。収録曲は、ボロディンの「だったん人の踊り」、リムスキー・コルサコフの「スペイン奇想曲」『序曲「ロシアの復活祭」』、そしてムソルグスキーの『交響詩「はげ山の一夜」』。いまは左耳の難聴「半分、青い」状態であるのと、プレーヤーがすべて破損していることで、CDもLPも聴けず、残念ながらこの「音」との再会はできていない。音楽評論家西村弘治氏の解説は納得できる。

 パリ管は勘どころを押えた無駄のないロジェストヴェンスキーの指揮の下で、それこそ水をえた魚のように生きがよい。華麗なオーケストラの大家として一時代を画したリムスキー=コルサコフオーケストレーションは――このレコードでは自作のみならずムソルグスキーにもボロディンにも及んでいるが――実際に演奏するオーケストラがうまければうまいほど、色彩的感覚に富んでいれば富んでいるほど、威力を発揮する。ロジェストヴェンスキー指揮のパリ管は、目が眩むような鮮やかさと心も奪われるようなリズムの軽妙さによって、リムスキー=コルサコフオーケストレーションを精彩あらしめている。もっと野性的な力強さや、もっと官能的な滑らかさや、もっと情熱的なエネルギーのほとばしりは外にえられるかもしれないが、この新鮮で透明な色彩感と爽快な躍動感は外にえられそうもない。