郡上一揆と郡上おどり

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 小林ひろし作『郡上の立百姓』は、昔(1966年)東京朝日ホールでの民藝公演(早川昭二演出)を観劇している。舞台で「だちかん」という台詞が飛びかい、このことばだけよく記憶している。史実の郡上一揆を題材にした演劇である。郡上一揆とは、『山川・日本史辞典2001年版』(山川出版社)によれば、「美濃國郡上藩でおきた1677~83年(延宝5~天和3)の延宝一揆と1754~58年(宝暦4~8)の宝暦一揆の総称」で、この芝居は、宝暦一揆を扱っている。宝暦一揆とは、「検見取(けみどり)への移行に対して百姓が城下強訴や老中駕籠訴・評定所箱訴などを繰り広げた闘争」である。「白山中居(ちゅうきょ)神社の神職間の対立も重なった」が、この部分は取り上げていない。「途中百姓が最後まで一揆を闘うとした立者(たてもの)と一揆から脱落した寝者(ねもの)に分裂、後々まで影響を与えた」とのことで、「義民に前谷村定次郎・歩岐島(ほきじま)村四郎左衛門などがいる」。民藝公演では、定次郎を内藤安彦、四郎左衛門を鈴木瑞穂が演じている。
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20160102/1451727866(「呉座勇一『一揆の原理』を読む:2016年1/2」)
 郡上おどりの曲目のなかには、この一揆(騒動)の義民らを称揚・慰撫する歌詞もあるそうである。
 http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-335.html(「郡上一揆白山信仰のゆかりの地を訪ね、白川郷の合掌造りの民宿で泊まる」)




 
 短篇集『水の町』(菁柿堂)の著書がある亡きO氏は、郡上市の出身で、英語科の教職の傍ら、岐阜県交響楽団の一員としてクラリネットを吹いていたのであった。彼も参加した、佐藤眞作曲『旅』の1998年7/26の演奏録音CDをいただいている。夏になると、郡上おどり見物に来訪するよう勧められていたことを思い出す。