「日本経済新聞」(Web刊)6/18によれば、岡山市の千足(せんぞく)古墳で、幾何学文様を彫刻した仕切り石「石障(せきしょう)」が劣化し、保存のために取り外しが必要なことが判明したとのことである。原因についてはまだ解明されていないようで、「技術的メドは立っておらず、現地保存のあり方が問われそうだ」。たぶん多くの人もそうであろうが、4年前の奈良県明日香村の高松塚古墳極彩色壁画の劣化のことを思い出した。日本のシステム共通の何らかの弊害があったのだろうか。その折のわがHPのメモ風な記載を再録し、今回の福島第一原発事故対応の問題を憤りをもって考えるヒントとしたい。
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819A91E3E7E2E1E58DE3E5E2E4E0E2E3E39391EAE2E2E2
◆「週刊新潮」1/18号で、「高松塚古墳」の壁画についてその損傷の責任を追及している。国宝の壁画は、石室を解体してから修理しなければならないほど、カビと不注意による傷が原因の劣化がひどいらしい。いったいどうしてこうなったのだろうか。河上邦彦神戸山手大学教授によれば、墳丘は記念物課、石室内の壁画は美術学芸課、という文化庁内の縦割りの弊害と、情報公開の不十分の二点が根本の問題点ということである。すでに80〜82年にもカビの大発生があったのにもかかわらず公表せず、しかもこの壁画の発見者である故網干善教氏に壁画を見る機会を与えず、カビの専門家に協力を求めることもしてこなかったそうである。これは文化庁という官庁だけの問題なのだろうか? (2007年1/13記)
高松塚古墳―飛鳥人の華麗な世界を映す壁画 (日本の古代遺跡を掘る)
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