和田合戦:NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』

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 呉座勇一氏の『頼朝と義時』(講談社現代新書)では、第7章の2で「和田合戦」について扱っている。第41回のドラマ展開も、『吾妻鏡』の記述を基底にして物語を展開していることがわかる。
 

 この時期展開されている政治抗争は基本的に北条義時和田義盛の対立であり、義盛は義時邸を攻撃すると、義時は考えていたのではないか。比企氏の乱をはじめ、これまで、鎌倉で発生した政変において将軍御所が襲われた事例はない。そこに義時の油断があったと思われる。
 だが義盛にしてみれば、将軍実朝を自らの手中に収めなければ、大義名分が得られず、反乱軍の汚名を着せられてしまう。真っ先に将軍御所を攻撃した戦略は正しい。
 和田義盛が実朝確保に失敗したのは、同族の三浦義村が北条方に寝返ったからである。『吾妻鏡』によれば、義村は挙兵に同意し、御所の北門を固めるように命じられていたにもかかわらず、約束を破って義時についた。これによって御所を包囲して実朝を捕らえる義盛の目算は崩れ、義時は虎口を脱した。後代に成立した説話集ではあるが、『雑談集』や『古今著聞集』も、義村の衝撃的な裏切りを和田合戦の核心として重視している。(pp.256〜257)

 ドラマでは、和田義盛自身が三浦義村に「北条についてもいいんだ。いまは斬らないが、戦場で相見える時には容赦しない」と、裏切りを予め見通して対していた設定になっていた。(1976年10/31誕生日の)メフィラス外星人が演じている三浦義村は、現代の〈ポストモダン的〉人物のようである。

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