「地球温暖化」をめぐる茶番

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   渡辺正東京大学名誉教授の『「地球温暖化」狂騒曲・社会を壊す空騒ぎ』(丸善出版)は、政府見解および(主として)朝日新聞NHK報道によるC(catastrophic=破局的)つきの地球温暖化論が間違いであることを、多くの専門科学者の論文と事例を紹介しながら指摘し説明している。門外漢にもわかりやすい、丁寧な解説となっている。
序章:60ワットの白熱電球を(同じ明るさの)8ワットのLED電球に全部取り替えれば、消費電力量が減ってCO₂排出量も減少し温暖化防止になると、東京都が企画しNHKはじめ各メディアがこれを称えた。LED電球に取り替えることにより、現在の都の約900億キロワット時の消費電力を約0.1%節電可能だが、変動幅が1%を超えてはじめて楽に出力調整できるので、0.1%では難しい。よしんば節電→節約できても、その金は別な経済活動に回るだろうから結局CO₂排出を減らさない。
1章:そもそもCO₂は植物の生育にとって必要不可欠なのであって、「4〜5億年前にたまたま上陸した緑藻が、いまよりずっと高いCO₂濃度のもとで進化・分化しながら栄えた生物の子孫」が、身近な植物たちなのである。濃いCO₂のもとで育てた植物は環境ストレス耐性が強く、温度が高いほど生育量が増加するという。同種の木だと、郊外よりも街中での方が生育量が20~25%高いという国際研究チームの事例報告もある。どんな環境が生物に望ましいかが「エコ」だとすれば、『私たちヒトも生物圏の一部だから、大気中のCO₂増加は、人間にとっても「エコ」だといえよう』。
2章:地球気温の測定じたいに問題があり、(予め定められた)各観測点での温度をIPCC気候変動に関する政府間パネル)などが適当に修正・加工しているので、「こうした実情を突き合わせれば、1975年以降に見える気温上昇の一部(半分以上?)は、世界各地で進んだ都市化と、GISSや NCDCの行う気温データ加工が生み出した「フェイク」だと思いたくなる。1910〜1940年代に激しい気温上昇が進んでいるが、この期間はCO₂の排出はまだ少ない。世界のCO₂排出が急増した戦後すぐ〜1970年代までむしろ気温は下がり続けている。気温上昇の原因の一つは、都市化(電力消費とクルマ走行)だろう。1950〜2014年の間で東京では約1.5℃気温が上昇しているが、三宅島ではほとんど上がっていない。気温上昇のもう一つの原因に自然変動がある。太陽の輝度(強さ)は短期間に、太陽と惑星群の位置関係の変化が長期間に、そして地球の公転軌道も一定ではないので、地球の受け取る熱も変動する。また海も水平方向のみならず深さ方向にも流れるので、深層から浮上した冷氷塊が表層を冷やす度合いが、周期的に変化することによる気温変動を招くことも考慮しなければならない。「CO₂濃度が倍増したときに気温はいくら上がるか」を表す量を「気候感度」と言い、それへの信頼度が高ければ、コンピュータ予想の信頼度も高いのだが、IPCCが使う気候感度は35年もの間、多くの研究者がおびただしい計算時間と巨費をつぎ込みながら、信頼度をほとんど上げてこなかった。温暖化対策とはそういうあやふやな予想をもとにしているのである。
3章:2006年NHKスペシャル番組でツバルの水没話を「地球の異変」として取り上げたが、この年2月28日の大潮は観測史上最強の勢いをもち、ツバルの首都フナフティを高潮で水浸しにした。これを「温暖化の影響」としたのは、意図的であったのか?海面上昇の主因は、小氷期からの回復という自然現象で、たとえ同じペースで潮位が上がっても100年間で「さざなみ未満」の20センチメートルにすぎない。1906〜2016年間の日本の潮位は明瞭な上昇はないと気象庁は解説している。2018年2月『サイエンス』誌に米国の地質調査所の研究者が温暖化で「苦しむシロクマ」の論文を出し、さっそく朝日新聞が紹介したが、シロクマ研究の権威カナダのスーザン・クロックフォード博士が「そんなはずはない」と瞬殺。現に、シロクマの総数は国際自然保護連合発表によれば、2005年の約2万頭から2015年の2万6000頭にむしろ増えているのである。NHK得意の南極の氷の崩落については、南極に降った雪はやがて氷に変わり自重で低い方に動いて端部にやってきて必ず落ちる、つまり恐竜時代からのありふれた自然現象なのである。温暖化の影響で世界各地で乾燥化が進むという論文も、降水量が増えるという論文も「温暖化の影響」を書けば学術誌の審査が通るのだ。「現実のデータあれこれを突き合わせてみれば、近い将来に何か重大な危機が人類を見舞うとは考えにくい」のである。
4章:パリ協定で、日本は、2013年比で2030年にCO₂排出量を26%削減すると約束した。そのうちエネルギー起源が21.9%削減ということ。この数値を実現すると、地球の推定気温上昇0.27℃。人為的CO₂の寄与がその半分、0.15℃として、CO₂排出が世界の3.5%の日本が目標の21.9%削減に成功したとき、地球を冷やす効果は0.15×0.035×0.219=0.001℃にすぎないのである。使われる必要な予算は80兆円!「人類史上最悪の国際協定」(米国ジャーナリスト)と言われる所以である。クルマを乗り回し、中型火力発電所1基分の電力を消費する( CO₂を排出する)スマホを常用しながら、CO₂排出削減を主張するのが現代の都会人(世田谷自然左翼!)である。
5章:太陽光発電の場合ーソーラーパネルのために森林や草原を更地にし、景観を破壊するのみならず地面の保水力を落としたため、大雨のとき土砂崩れや洪水の被害が増える事態が発生している。風力発電の場合ー風車が住宅地に近ければ低周波ノイズが住民の安眠を妨げ、また風車の羽根にぶつかって死ぬ鳥やコウモリが多い。米国野生生物協会のデータによれば、2012年1年間で風車が殺した鳥の総数は57万3000羽とのこと。2012年民主党政権下で発足した固定価格買取制度で、一般家庭における電力使用料金中再エネ発電賦課金の占める割合が高くなっている。で、このお金は結局「屋根にソーラーパネルを設置できる裕福な個人とか、メガソーラー発電や風力発電で儲けたい事業者の懐に入る」結果社会的格差を拡げ、その素材の確保と製造・輸送と設置工事・保全・解体と廃棄などの過程で世界のCO₂排出量をむしろ増やしてしまうのである。バイオ燃料の場合ー人の手がどこの過程でも加えられるから「結局のところ、いまの技術でつくるバイオ燃料は、どんな生物を利用しようとも、化石資源の枯渇を早めるものでしかない」。
6章:「京都議定書」(1997年12月採択、2005年2月発効)で、日本は基準年1990年からCO₂排出削減目標を6%とされた。この基準年1990年というのは、東西ドイツ統合で97年ドイツは90年比14%も削減しており、またイギリスは石炭から天然ガスへの切り替えで同じく10%ほど削減しており、両国は1990年を基準年にすればもう削減努力は不要となるという策略(当時ドイツの環境相メルケル)であったのだ。
 「クライメートゲート事件」と呼ばれる事件が2009年11月に起こっている。世界気温データの発信源となる気候研究ユニット(CRU)のコンピュータから誰かが1073通のメールを含む文書ファイルを米国の複数ブログサイトに載せ、WUWT(ワッツ運営のブログサイト)に載ったファイルが、ネット経由で全世界に流れてしまった事件。それら情報によれば、人為的CO₂地球温暖化説の根拠とされるデータ・情報に細工があったことが判明、懐疑派を増やした。CO₂温暖化説と合わない論文を報告書に載せない方策や、学術誌で審査に当たる仲間に「異説論文」の原稿を却下させる手段の相談などなど、IPCC関係者のふるまいが、流出メール群から浮かび上がっているのである。なお地球温暖化政策を推進したオバマ政権と違って、トランプ政権は、愚かしいパリ協定からの離脱を決め、その政権下で人為的温暖化説に懐疑的な環境保護庁(EPA)長官によって、就任後1年間で無駄なEPA規制撤廃で1000億円以上の歳出削減を果たしているそうである。
終章:大げさな騒ぎが起きやすく、資源の浪費を通じてむしろ環境を傷める「環狂」の世の根元に、「自然はよくて人工は悪い」という妙な感性があること。レイチェル・カーソンの『沈黙の春』の影響で合成殺虫剤DDTが攻撃され、反対運動にひるんだ諸国がその製造・販売を禁じたことにより、いっとき激減したマラリアの死者数が2015年に推定数十万を数えるほどに戻っている。人工物のベンゼンは怖がり基準値を決めるが、それよりは怖がるべきアルコール(エタノール)については天然物なので基準値すら関心がない。 

 

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