お疲れさま、李麗仙さん

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 舞台女優李麗仙(元李礼仙)主演の舞台は、何回か観ているが、すぐに記事にできるのはむろん唐十郎の作品で、蜷川幸雄演出の『下谷万年町物語』(1981年2月)と『黒いチューリップ』(1983年2 ・3月)、どちらもPARCO西武劇場にて。
 いつだったか、江東区のベニサンピットの入口すぐの薄暗く狭いロビーでこの女優を目撃したことがある。舞台と変わらぬ印象であった。ご冥福を祈りたい。

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 その下町万年町に戦後オカマが棲みついてしまったことが、唐十郎さんの小説に書いてある。もとからいた芸人が、戦後、劇場やお座敷がにわかに消えたために、芸ではなくて身を売らないわけにはいかなくなったためか、それとも純然たる男娼が芸人の町を気やすく思って棲みついたのか、そこは判然としない。正確には藤間茶屋のようなオカマ宿ではなくて、オカマの塒(ねぐら)であろう。そこで商売をするわけではなくて、やはり浅草界隈にお勤めに出掛けてゆくようだからだ。後にふれる車坂あたりに出張したかもしれない。
 唐さんが舞台にしている万年町の年代はどうも昭和30年頃のことらしい。唐さんは当時小学生だろうが、少々馬齢をけみしている私は、この頃はもう大学生で、浅草吉原界隈をうろついていた。もっとも、ゲイ・バーにせっせと通ったということはない。(種村季弘「町の気違い街道」公演パンフレット) 

 

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