清岡卓行没後15年(2006年6/3没)の日に

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あるスポーツで

笑え! 手を叩け! 泣け! 抱き合え!

そのとき 勝利とともに青春は終るのだ。

汗と傷だらけの練習。無我の興奮の試合。

その果の栄冠の何という輝かしい空しさ。

 

茶店

勤めをやめて 夫が呼ぶパリへ行きます

と 若い編集者(レダクトリス)が静かに打明けた午後

依頼されて書けずにいた詩が 不意に

ぼくに芽生えたのだ 淡い恋心のように。

 

噛みたい声

弱音器をつけた弦のようにそっと囁く

きみの電話の少し鼻にかかった甘い声。

ぼくは用を忘れ きみの見えない耳朶を

ふと噛みたいと思う 銀の耳環(イヤリング)となって。