アメリカでこれから17年ゼミが大量発生する

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 かつてわがブログ(2015年7/2)でとりあげている。抜粋して再掲したい。

▼『OLEX』英和辞典に記載の「17年蝉(seventeen-year locust)」とは、アメリカの東部・南部に17年周期で大量発生する、いわゆるMagicicada=周期ゼミ(素数ゼミ)のことだ。周期が13年の13年ゼミもいる。吉村仁静岡大学教授の『素数ゼミの謎』(文藝春秋)が面白く、その謎が解明されている。 

 古生代石炭紀(3.6億万年前)に登場したセミは、何度かの氷河時代を生き延び、新生代第4紀更新世(180万年前)の氷河時代を迎えた。祖先ゼミたちと違って、この極寒の北アメリカの地では、成虫になるのに要する期間が長くなり、南部でも12~15、北部では14~18年かかるようになった。しかも、氷に覆われない「レフージュ」と呼ばれる避難所のような土地に限られて生息できたのであった。さて、13と17は素数。すなわち他の数との最小公倍数は大きくなる。例えば、15年と18年では、最小公倍数は90、90年に1度同時に発生し、交雑(近いけれども少し違った仲間どうしで交尾して、子孫を残すこと)する機会が多くなる。交雑によってできる子供は発生周期が滅茶苦茶になっているから、(一斉に発生して)次の子孫を作れないので、その周期のセミは、何千年、何万年単位の時間で衰退し滅亡してしまう。15年と17年の周期ゼミでは、最小公倍数は255、つまり255年に1度しかこの二つのセミの交雑は起こらない。素数である17年と13年周期のセミは、交雑の頻度が少なく、それだけ子孫を残しやすかったのである。