『危険なビーナス』は楓役の吉高由里子の魅力のみ

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 昨日12/13(日)の放送で終了したTBSドラマ『危険なビーナス』は、ヒロイン楓を演じた吉高由里子の魅力のみが観どころの連続ドラマであった。NHK大河ドラマ麒麟がくる』で織田信長役の染谷将太が、夜9:00〜監禁されている弱々しい表情で時折出てくるのは興ざめであった。富豪矢神家の遺産相続をめぐる血縁者たちの争いが表層のトラブルとして、いちおう巧妙に物語が進行するが、相続権についての集まりに顧問弁護士が不在であることに違和感を抱く。
 裏のトラブルは、医学における「後天性サヴァン症候群」とかの研究記録の争奪で、そしてその深層には、その後天性サヴァン症候群の発症によって偶然発見され描かれた、素数の規則性を暗示する「寛恕の網」図という数学的に画期的な絵図の所在の探索、これらが真の物語の軸である。織田信長染谷将太の明人監禁は、それを炙り出すための仕掛けの〈記号〉に過ぎない。明人の異父兄の獣医手島伯朗(妻夫木聡)と共に、監禁されているとされる明人を救うため矢神家の中にいるはずの犯人を探索するのが、シアトルで結婚した明人の妻と自称する楓、吉高由里子である。ほんとうの妻なのかどうか、登場人物と一緒に視聴者もその怪しさに振り回される。ところが、湯船で死体となって発見された伯朗の実母禎子(斉藤由貴)が住んでいた家が空き家のまま残存していて、二人が調べに入り込むと、大家だか管理人だかの男が突然現われ、そうと知らず楓が素早く組み伏せてしまう。「手荒くはしてませんよ」とか言った台詞と併せてここで楓が警察官であると直感、わからない視聴者は鈍感。あと事件の文脈こそさっぱりわからなくても、小日向文世演じる、伯朗の叔父の数学者が黒幕っぽいという予測も容易であった。
 とにかくこのドラマの主役が吉高由里子でなかったら、最後まで観続けることはなかったことはたしかである。神秘的で謎の女役の吉高由里子ということで、昔の、貫地谷しほりも共演している『ラブシャッフル』がまた観たくなった。