Facebookで、新アララギ元代表であった吉村睦人さんの訃報を知った。初代代表宮地伸一さんの葬式で偶然お会いしたり、お宅に連れ合いと一緒にお邪魔したり、拙著『十一の短篇』(菁柿堂)の出版祝賀会に臨席し励ましていただいたりなど、多くのことが思い浮かぶ。最初に恵贈いただいた歌集は、七人自選歌集『貯木池』収録の『鐡塔』であった。ご冥福を祈りたい。
女友達と歩める友のいくたりに會ひし夕べにて水仙を買ふ
今日よりは神の僕(しもべ)になると言ふ君の手紙にわれは拘る
悲しみが多ければそれだけ清くなる如く思ひてわれは堪へゐる
清き處女のままなるわれのまぼろしを少し亂せる今日の噂あり
吹雪く尾根をつぶての如く越えてゆきし二羽の小鳥は幻影だったのかも知れぬ
心亂れゆかむとすれば苦しみて死にゆきし父をわれは思ふ
土痩せしわが庭土に一むらの枸杞(くこ)はたくましく茎のばしたり