マックス・ワルター・スワーンベリの世界

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 スウェーデンの幻想画家マックス・ワルター・スワーンベリ(Max Walter Svanberg)の画集は一冊所蔵している。河出書房発行の『シュルレアリスムと画家叢書・骰子の7の目』の別巻として刊行(1976年7月)されたもので、編集ジャン・ソセ、日本語版監修は瀧口修造、著者は澁澤龍彦

 澁澤龍彦は、「女の楽園」と題するエッセイ(解説)で、スワーンベリには「きらびやかな冷たいマティエールに対する嗜好がある」とし、「この宝石のような冷たいマティエールが、彼の絵をあれほど豪華に、あれほど高貴なものにしていることは否定すべくもあるまい。冷たさは、彼の絵においては明らかにメリットなのである」と書いている。そしてスワーンベリのインスピレーションの主要な源泉はつねに「女」なのだ、と続ける。愛妻グンニは、すべての「女」を代表する一人の女なのであった。

  こうして私たちは、女たちの口から、女たちの乳房から、女たちの性器から、——すなわち、女の肉体のあらゆる性感帯から、長い鳥の首やら、象の鼻やら、一角獣の角やら、笏や短剣やらといった男性性器のシンボルが、自由奔放に突き出されるエロティックな夢の光景に立ち会うのである。それは女たちの側から見れば、妊娠の象徴であり、性的恍惚の象徴であり、欲望の突然の昂ぶりの象徴であって、とりも直さず、彼女たちが愛に生きていることを示すためのものでしかないのである。(p.28)

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f:id:simmel20:20191015155229j:plain(スワーンベリ夫人グンニ)