ジョージア(グルジア)の近松劇

 栃ノ心が初優勝、平幕では6年ぶり ジョージア出身:朝日新聞デジタル
 栃ノ心関、初場所優勝おめでとう!
 ジョージアグルジア)と日本文化ということでは、(そんな大袈裟なことではないが)昔(1991年)パルコ劇場で、国立グルジア劇場(コテ・マルジャニシビリ記念トビリシ国立アカデミー・ドラマ劇場)の来日公演、『心中天網島ー三幕の劇詩』を観劇している。シンプルな舞台装置と小道具で、近松劇を舞台化していた。小春と治兵衛の心中場面は、シルエットで簡素化し、惨劇の印象を与えなかった。治兵衛のイメージは、商人というよりは「背骨をピンと伸ばした武人といった風格がある」人物として造形され、また小春も治兵衛の妻おさんも含めて「三人が三人とも自分の欲望を断ったところで、行動しているととらえている」と、演出家(M.クチュヒゼ)の意図について演劇評論家大笹吉雄氏は公演プログラムに書いている。

 ここも日本人の解釈とは異なる。したがって、舞台の形象におのずと差がある。しかし、これをもって、なるほど進行は原作に沿うが、これは近松の『天網島』ではないと目くじらを立てることはなかろうと思う。大事なことは、『天網島』がどのようにグルジアの人々を惹きつけたのかということであって、日本人の解釈を強要することではないからである。その意味で、ここにはまごうことなく近松を介したグルジアの人々の魂がある。わたしが感動したのはそのためであり、だからこそ忘れがたい舞台であった。……大笹吉雄近松の、グルジアの魂」





 いまニーナ・アナニアシヴィリ(Nina Ananiashvili )率いるトビリシジョージア国立バレエ団(State Ballet of Georgia)に、バレエダンサーとして、東京藝術大学出身の鷲見雄馬さんが所属している。かつて、『ボレロ』のシルヴィ・ギエムの回りを囲むダンサーの一人として抜擢されたこともある。期待している。
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20170606/1496740379(「小説・舞台の形式的な必然性:2017年6/6 」)