わがアラーキーコレクション

東京新聞」8/2夕刊


 さすがに荒木経惟アラーキー)の作品展を観に行く意欲は湧かないが、写真集のコレクションを眺め直してみた。4000冊を越えるという、アラーキーの写真集のほんの一部にしか相当しない。まだ探せば見つかるかと思うが、いまのところは並べられてある通りのコレクション。大島洋氏の『写真幻論』(晶文社・1989年)所収のエッセイ「写真全集の不可能について」では、アンセル・アダムスの名作「エルナンデスの月」に触れながら、写真家にとって完結した作品集というのは成立せず、撮られた膨大な数の写真のどれが全集を構成する〈作品〉となるのかは、編者次第になってしまうと指摘している。なるほど、『写真家にとっての作品という概念や規範がなにもなく、「作品」ということばが使われるときにはいつでも、言語による作品の概念の使用でしかないことに気づかされるのである』。


 所蔵している直筆署名&イラスト入りの写真集は、『今年ノ愛人』(札幌市・コンチネンタル貿易発行)一冊のみ。

 わがアラーキーの写真集コレクションで最も高価なのは、『天使祭』(太陽出版・1992年)で定価15000円、オリジナルプリントのような色彩と迫力がある。

後の壁のポスターは、玉井敬友作・演出、前川麻子主演『少女阿部定』(1999年4月、下北沢「劇」小劇場にて)公演のもので、荒木経惟撮影。

 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20170214/1487052034(「ああ青林堂:2017年2/14 」)
 http://www.asahi.com/and_w/gallery/1708_araki/?iref=comtop_fbox_u10(「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971−2017−」)