本屋はどうなる

 津田沼駅とパルコ店内にある、K書店のID会員登録という手続きを行なった。いままでは、散歩がてらにこのどちらかの店によって、すぐに読みたい本が棚で見つかったためしがなかった。これからは、予めネットで注文しておけば取り寄せておいてくれるそうである。Amazonばかり繁盛させることもあるまい。地元の書店にも頑張ってもらいたいのである。
 ところでグローバルな視野で書店について考えさせる記事が、Facebookに掲載されていた。中東学者の池内恵(さとし)東大准教授のレポートである。
 Waterstonesという英国の書店チェーンが丸ごとロシア資本によって買い取られていたことを、2012年の現地報道記事で紹介し、コメントを載せている。なるほど、ロシアの外交および安全保障の長期戦略とはみごとなものであると、感嘆させられた。
……この過去10年の石油価格高騰期に、ロシアの新興成金層や政商がどんどんロンドンの不動産を買うので、とんでもなく高騰している。ホテルも馬鹿高い。/アラブ成金と同じで、ロンドンやパリの由緒正しい不動産や、新しく出来る変わった形の目立つビルに投資し、サッカークラブとかを買うのがよくある事例だったが、その流れで、書店まで買われていたとは・・・/アメリカではニューヨークやワシントンの重要な書店、特にチェーンの書店のフラッグシップ的店が次々になくなってしまっているのに対して、ロンドン中心部は書店が生き残っているのはなぜか、と思っていたが、スポンサーがついていたのね。/しかし「タダのランチはない」。本を読んで書く知識人たちがプーチンに首根っこ押さえられているのではないかと疑ってかかってしまう。ロンドンは世界の世論に影響を与えやすい情報の結節点なので、ここの書店を押さえたロシアはやはり、手を打っているな、と思う。Waterstones傘下には格式高いHatchardsもあって、ハードカバーだけ売っていたりして、どうやって成り立っているのかと思っていたが、そもそも採算度外視なんじゃないかね。ロイヤル・アカデミーの真正面だもんなあ。……(池内恵氏:9/27)

⦅写真は、東京台東区下町民家の秋の薔薇(その2)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。コンパクトデジカメ使用。⦆