オルテガ・イ・ガセット没後60年

『大衆の反逆』のオルテガ・イ・ガセット(José Ortega y Gasset)が亡くなって、今日で60年(1955年10/18没)になるとのことである。『大衆の反逆』(中公世界の名著56・寺田和夫訳)1冊しか読んでいないので、オルテガの思想全体については知るところではないが、上智大学の紀要『ソフィア : 西洋文化ならびに東西文化交流の研究』7巻2号掲載の論文、J.M.デベラ氏の「現代スペインにおけるホセ・オルテガ・イ・ガセットの評価」は参考になる。
 http://repository.cc.sophia.ac.jp/dspace/handle/123456789/840(「上智大学学術情報リポジトリ」)
 1883年に生まれたオルテガは、イエズス会系経営の中学・高校で、しっかりとした古典の素養を受けて後、1905年〜1909年ドイツのベルリン・ライプツィヒ両大学で学んでいるが、哲学への道に誘ったのは、マルブルグ大学のコーヘン教授であった。教授からカント的観念論の影響を受けたが、オルテガ自身によれば、その影響もわずか10年間のことで、「オルテガコスモポリタン的傾向を有してはいたものの、やはりあくまでもスペインの思想家であったのである」。
……観念論的哲学の時期を過ぎると、オルテガはドイツで得た一番貴重なもの、すなわちドイツの優れた歴史感覚を完全に会得することに専心した。かれは、それを自分の知的所有物の中で一番大切な、宝物のように思っていた。つまり、それはかれがドイツで発見した一番実のあるものだったのだ。それ以来、歴史と環境の評価にオルテガの最良の努力が傾注され、その合理活力理論はついに完成の域に達成したのである。……(同紀要p.58)
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20140918/1411028884(「大衆社会の構造転換:2014年9/18」)

⦅写真は、東京台東区下町民家のマリーゴールド。小川匡夫氏(全日写連)撮影。コンパクトデジカメ使用。⦆