チュニジアの花と風景

 池内恵(さとし)東大准教授の「中東情勢分析」によれば、いわゆるアラブの春以降中東において国家の融解が進行しているとし、
……各地で政権の動揺や崩壊,国家の融解,武装集団の拡散が進む一方で,その趨勢に抗す る反作用の形で,中央政府の再強化を進める事例がある。それらは国境が歴史的にも自明 で,国民のアイデンティティ帰属意識が比較的強く,武器の管理がかなりの程度に行き 届いて国家が一元的な管理を行い得ている,いわば「国家性」が高い国々で生じている。 例えばエジプトやチュニジアである。それらの国々では,「アラブの春」で一時的に揺らぎ かけた中央政府が,権限の再強化を進め,その過程で権威主義的様相を再び強めている場合がある。……
 そして「チュニジアも, ウクバ・イブン・ナーフィア旅団をはじめとする,西部カスリーン県を中心とした,辺境 領域に活動するテロ組織の掃討作戦の実施を通じて,ベン・アリー政権下に徹底していた 警察国家としての統治を復活させようとする動きが,懸念をもたらしている」。エジプトを含めて「ただし国家の再強化は必ずしも国内や地域政治の安定化をもたらしていない」とのことで、「チュニジアも 周辺領域での武装組織の活動を封じ込められておらず,内戦や領域支配には至らないまでも,中央政府を脅かし,民主化の進展や定着の阻害要因となるとみられる」。
 http://www.jccme.or.jp/japanese/11/pdf/2015-04/josei02.pdf(「池内恵:中東情勢分析」)
 池内氏のブログ「イスラーム学の風姿花伝」には、氏が滞在中撮ったチュニジアの街並みや海辺の眺望などの写真が載っている。美しい。
 http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-313.html(「チュニジアの風景(1)ザイトゥーナ・モスク」)
 http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-314.html(「チュニジアの風景(2)スィーディー・ブーサイードの休日」)
 http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-316.html(「チュニジアの風景(3)スィーディー・ブーサイードはこんなところ」)
 http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-317.html(「チュニジアの風景(4)ブルギバ通りの眺望」)
 また、下記サイトには、チュニジアの国花アラビアジャスミンの花と、それを売る人物の写真などがある。なるほど「ジャスミン革命」の語の由来が納得できる。
 http://mphot.exblog.jp/17250547/(「ジャスミンの花売り:写真でイスラーム」)
 なおいまの季節に民家の庭で芳香を放っているカロライナジャスミンは、ジャスミンの属するモクセイ科ではなくマチン科の植物で、ジャスミンの仲間ではない。
 http://www.nippon-shinyaku.co.jp/herb/db/arekore/41_50/gelsemium_sempervirens.html
   (「『有毒植物』カロライナジャスミン」)


⦅写真は、東京台東区下町民家の上カロライナジャスミン、下アジュガ(セイヨウジュウニヒトエ=西洋十二単)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。コンパクトデジカメ使用。⦆