ギュンター・グラス(Günter Grass)の原作小説は未読であるが、フォルカー・シュレンドルフ(Volker Shlöndorff)監督の映画『ブリキの太鼓(Die Blechtrommel)』は、昔有楽町スバル座で観ている。さらにフランス盤のDVDを、Amazon.frで購入し鑑賞している。じつはわが短篇「玉虫」の場面設定で、この映画から個人的にとても気に入ったシーンをいただいているのである。
洒脱なエッセイストでもあった、亡き映画評論家虫明亜呂無は、公開時パンフレットで「ヨーロッパの文学や、絵画や、音楽に共通してあるエロチシズムが、ここにも、みごとに結晶している」ということに感心したとし、
……ナチスの勃興や、ダンチッヒ回廊事件や、戦争の問題は、エロチシズムの背景であり、その枠であり、骨組みであり、歴史である。少年の叫びはエロスをつうじて復活を希求する人間の声である。それらは、作品に現実性を与えるモチーフであって、主題ではない。そちらの方に目をおいては木を見て、森を見ない誤りをおかすであろう。小説や、映画のおもしろさは、そういうこととは、本来、関係がない。……
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⦅写真は、東京台東区下町民家の白花花蘇芳 その2。小川匡夫氏(全日写連)撮影。コンパクトデジカメ使用。⦆