〈ウソ社会〉批判の有効性


 一連の橋下大阪市長発言で思い起こしたのが、評論家呉智英(くれともふさ)氏が、かつて当時「援交問題」で論壇デビューした社会学宮台真司氏の議論について述べた批評のことばである。むろん大いなる共感をもって読んでいる。
……宮台真司がね、「オヤジは、若い子が援助交際するのはいけないとか言いながら、その若い子とやっている。それは欺瞞じゃないか」って言ってたのを聞いて、俺は宮台真司のすべてが分かった気がしたんだよね(笑)。そんなのは、昔からちょっと才気走った若い奴が使ってた論理を言い換えただけじゃないかって。他人の娘はいくら食っても自分の娘は他人には食わせないっていうのは、人間のエゴイズムからすれば当然のことじゃないかって思うんだよね。それを欺瞞だとか何だとかって言うのは、青臭い反抗の論理として昔からあったことで、結局、宮台が言っているのは、そのバリアントにすぎないんじゃないかって気がするのね。……⦅宮崎哲弥氏との対談本『放談の王道』(時事通信社)p.50⦆ 
放談の王道

放談の王道

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の、シモツケ(下野)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆