昨日1/21(月)は、浅草公会堂にて『新春浅草歌舞伎』第2部(午後3時開演)を観劇した。言わずと知れたこと、市川海老蔵を観るためである。TVの街歩き番組で知っている、片岡孝太郎も出演するとのことで大いに期待してチケットを購入した次第。
演目は、1:「毛谷村(彦山権現誓助劔九段目)」、2:「口上」、3:「勧進帳」。
「毛谷村」は、六助=片岡愛之助、お園=中村壱太郎、一味斎後室お幸=上村吉弥、微塵弾正=中村亀鶴、柿斧右衛門=市川海老蔵という配役。宝塚の男役と娘役を瞬時に入れ替えるようなお園の中村壱太郎(成駒屋)は、魅力的であった。赤の色彩が印象的な舞台。海老蔵は、老婆を殺される無力で情けない庶民の役で、こんな役もこなせて盛り上げていた。
「口上」は、市川海老蔵の文字通りの独擅場(どくせんじょう)で、新年の挨拶の後得意の「睨み」。公会堂左隅のこちらまでその視線は届き、しかと確認。
「勧進帳」は、武蔵坊弁慶=市川海老蔵、富樫左衛門=片岡愛之助、源義経=片岡孝太郎の配役。十二代目市川團十郎丈は書いている。
……それにしましても、富樫はどの瞬間に座っている強力(ごうりき)が義経だと悟るのか。わたくしはもうはなっから、「あの強力は義経ではないか」と疑っているのだと思います。本物かどうかは、弁慶を見れば、その問答のなかでわかるはずなんですよね。これほどの人物がそばにいるということは、只者であるわけがない。でも富樫は家来の手前、義経だと知ってか知らずかの顔をせざるをえないわけです。……『團十郎の歌舞伎案内』(PHP新書)p.198
富樫と弁慶の間に漂う緊迫感を十分に満喫した。片岡孝太郎の義経には気品あり、弁慶の忠義の志と情念が伝わった。昔能楽の『安宅(延年の舞)』を、観世能楽堂で、弁慶(シテ)=喜多長世、義経(子方)=内田成信、富樫某(ワキ)=森茂好、富樫の従者(アイ)=山本則直、義経の従者(アイ)=山本東次郎の配役で観たことがある。能楽の舞台との比較も必要だろう。
十一代目市川團十郎襲名興行(1962年4月)、十二代目市川團十郎襲名興行(1985年4月)ともに、昼の部の「勧進帳」ではなく、夜の部の「助六由縁江戸桜」のほうを観ている。海老蔵の助六も観てみたいものである。
帰路、「Angelus(アンヂェラス)」で、いちごショートとモンブランを土産に買った。昔はよくここのショートケーキを食べたものである。
http://ryoma.cantown.jp/cgi-bin/WebObjects/Cantown.woa/wa/shop?id=122(「アンヂェラス」)
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⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の 、水仙。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆