なんじゃもんじゃと桐の花

 遊民の身であればとくにゴールデンウィークの期間に外出する必要はないのであるが、花の開花時期は外せないので、5/5(土)、船橋市の海老川沿い遊歩道(ジョギングロード)を散策した。川にかかる富士見橋からはじまって、最後は八栄橋まで。川は澄んではいない。数えきれないほどの鯉と亀が、川を悠然と遊泳していた。途中ムクドリの番に出会う。近寄っても逃げずに樹上の虫を探して啄んでいた。
 お目当てのなんじゃもんじゃ(ヒトツバタゴ)の木は、八栄橋近くの交差点にある。2本どちらもまだ開花していなかった。残念、早く来すぎたのだ。雪が積もったように咲いているはずであったのだが。

 この木のことを教えてくれたのは、亡き作家鴻みのるさんだ。鴻みのるは、三島由紀夫に師事し、いまは亡き夫人の依頼で、三島由紀夫の蔵書目録を作成するのに尽力している。このことを書いたエッセイが、日本エッセイストクラブの96'年ベスト・エッセイの一つに選ばれている(『父と母の昔話』文春文庫所収)。
 作家鴻みのるへの追悼を込めて、『雲』2008年7月号に掌篇小説「なんじゃもんじゃの花」を発表した。


⦅写真(解像度20%)は、東京台東区の公園に咲く、桐の花。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆