柳家小三治独演会鑑賞—落語な一日


 昨晩12/2(木)は、東京銀座ブロッサム中央会館ホールにて、柳家小三治独演会を聴いた.高校時代から大会社社長を経て退職、永きにわたっていまなお落語を聴きつづけている、S氏を中心とした落語鑑賞会に誘っていただいての今回のチケット入手.嬉しい限り。開場前地下鉄新富町駅近くの店で食べたオムライスは、ボリュームありすぎで残してしまった.
 小三治師匠の前座は、真打七代目柳亭燕路(えんじ)の「悋気(りんき)の独楽」。まくらもなく登場人物を絞って簡略にした展開.小三治師匠の独演会でこその高座であろう.辻占の独楽を回す最後のところは、それなりに味があって面白かった.
   http://www.rakugo-kyokai.or.jp/Profiles.aspx?code=135 (柳亭燕路
   http://www.rakugo-kyokai.or.jp/Profiles.aspx?code=135 (「悋気(りんき)の独楽」)

 いよいよ小三治師匠登場.名物のまくらが延々とつづき、食べ残したオムライスなみのボリューム。ついに「落語をやってください!」との無粋な女性の声が、客席から聞こえた.まくらの天下の小三治師匠になんという〈勇気〉か.「今日は2席演じる予定でしたが、1席になりますな」などと、師匠意に介さずお喋り続行。ここに落語があるのだといえばいえようか.いい加減なところもありなのだ.しかし話はやはり噺となり、とぼけたなかに一瞬の芸を見せる.笑ってもいいし、無理に笑わなくてもよい.
 歌まで歌ってみせた.「入船亭扇橋の音程の狂った歌いかたで歌うと、おっとはじめからやらないと音程を外すのはむずかしい」と言って、遠く扇橋師匠をからかうが、嫌みは微塵も感じられない.いちばん感心している歌い手は研ナオコで、この歌手は天性の上手さをもっている.みずから作詞・作曲ということで、上手いと多くのひとに思いこまれている中島みゆきなんぞは、それほど上手くはない.この評価には驚いた.屈指のクラシック音楽通の小三治師匠の言であるから、聞き流せないところがあった.今度研ナオコさんも聴いてみよう.
 中入り後の出し物は、「大工調べ」。棟梁(落語では、江戸語とうりゅう)と大工の与太郎が、ためた店賃のために与太郎の道具箱を取り上げてしまった大家に、啖呵を切る噺.立川志らく師匠は、情の二人より、論理の大家に分があり、現代の裁判なら大家の勝ちで、そのまま演じたのでは「観客の共感は得られない」とし、「ハイテンションな男のオーバーヒート状態」の啖呵で、正論のみ振りかざす大家に立ち向かう展開がよいだろうとしている(『全身落語家読本)新潮社)。小三治師匠はとくにそのような味付けはしてないようで、棟梁と与太郎との落差が自然に浮かび出て笑ってしまう。序破急の展開よろしく、時おりの若干のもたつきは気になったものの、大いに堪能できた.
 終演後、東銀座の中華店で飲み会。名人の高座の後の興奮で、参加者6名はじめから棟梁のようなハイテンション。あっという間に時間が過ぎて、じつにひさしぶりに、浅草橋駅で終電一つ前の電車に飛び乗って帰宅.こちらは畏れ多くも美智子皇后と同じGERDの持病あり、すぐには就寝できず、テレビの映画チャンネルNECOの映画を観るでもなく画面に眼を遣ると、佐山愛という女優主演の女性雀士の物語.かつての麻雀の愉悦と疲労を思い起した。やたらこの女優の脱ぐ場面多く、圧倒的な巨乳(爆乳)で一気に酔いが覚めてしまうほどだった.巨乳には関心がないが、この女優のそれは乳首もピンクで陥没していない。なかなか魅力的である.映画は、登場人物たちの間抜けぶりといい、まるで落語のような展開で面白かった.ともあれ落語な一日ではあった.

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⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の山茶花の花。小川匡夫氏(全日写連)撮影.⦆