2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「青」をめぐって

昨年初詣に訪れた東京亀戸天神社の境内の池に、カワセミとアオサギがいた。感動した。見物の参詣客で、たまたまか正しくアオサギの名を呼んでいる人はいなかった。羽色を見れば当然であろう。灰色である。 古代日本においては、黒から白に至るそれこそ「グレ…

「ニーチェ」というポリフェノール

まだまだ「ニーチェ」は、ブランドなのであろうか。ポリフェノールが解毒の〈神〉だとすれば、「ニーチェ」は、有毒であるからこその〈神〉なのであろうか。廃刊となった雑誌『大航海』(新書館)最終号の「ニヒリズム」特集、とくに三島憲一氏の論考を思い…

赤ワインとポリフェノール

居酒屋で、ポリフェノールが体にいいというので赤ワインばかり呑んでいる人がいる。赤ワインに含有されるプロアントシアニン(OPC)と呼ばれるポリフェノールがいいというわけである。フランス人は、動物性脂肪を多く摂取しているにも拘らず、心臓疾患で死亡…

百合の咲く場所で

「Dragon Ash」のこの曲はよく聴いている。若きミュージシャンの冥福を祈りたい。

庭で茂吉を読む

今年は斎藤茂吉生誕(明治15年=1882年)130年にあたるとのことで、神奈川近代文学館では、これを記念して「斎藤茂吉展」が企画されている。 http://www.kanabun.or.jp/(「生誕130年・斎藤茂吉展」) シロハナズオウ、白山吹、ドウダンツツジ、ハナカンザシ…

マヨネーズのおいしさ

あるタレントが、糖尿病悪化で予定されていた舞台を降りたそうである。持病があるにも拘わらず、妻の監視をくぐってたとえばかつ丼にマヨネーズをかけて食べたりしていたとのこと、プロ意識の欠如には呆れるばかりである。 ところで、マヨラーなる語もあるほ…

掌篇小説について

先日文芸誌『雲』(龍書房)の藤蔭道子編集長から掌篇小説を書いて送るよう命じられて、まだ約束を果たしていない。題名だけは決まっているが、さてまとまるかどうか、といった体たらくである。 この月刊『雲』では、森晴雄氏が、川端康成の『掌の小説』につ…

「荷風忌」に寄せて

千葉県市川市の広報によれば、1959年4月30日未明に市川市の住まいで亡くなった、作家永井荷風を偲んで「第4回市川・荷風忌」が催されるとのこと。 http://www.city.ichikawa.lg.jp/cul06/1111000154.html(「市川市HP」) かつては東京浅草に住み、いま市…

『室生犀星文学アルバム』の出版

今年は室生犀星歿後五十年(1962年逝去)にあたる。これを記念して、菁柿堂から『室生犀星文学アルバム・切なき思ひを愛す』が上梓された(発売:星雲社)。笠森勇室生犀星記念館館長が書いている。こちらはそれほど熱心な読者ともいえないが、同感である。 …

アルメニアの花

上写真の(瑠璃)ムスカリは、ムスカリ・アルメニアクム=Muscari armeniacumという品種で、この名称は、「アルメニア(原産)の」ムスカリという意味である。杏(アンズ)の学名もPrunus armeniacaであるから、あまり原産地の特定にこだわることもあるまい…

はかなさについて

竹内整一東京大学教授の『「はかなさ」と日本人』(平凡社新書)は、無常観(無常感)をめぐる日本思想史である。最後のところで、必ずしも現代の代表的知識人とも思えない人物の〈美文〉をもってまとめているのは、いかにも思想史の研究者らしい「無害・無…

教科書のなかの社会科学:昔の論考

本棚の整理をしていたところ、昔『季刊クライシス』(社会思想社)1987年春号に掲載された論考に出会った。目次を見ると、かつての社会科学の関心と傾向(偏向?)がよくわかる。議論の射程距離に、我ながら疑問をもつが、この季節、学生・生徒らはおそらく…

BSフジ「プライムニュース」の追悼吉本隆明

(わが蔵書から、『定本詩集』&『初期詩篇』。) 4/13(金)のBSフジ「プライムニュース」で、「追悼企画:吉本隆明の現代日本における意味」を放送していた。めずらしく番組を初めから終了まで視聴。ゲストに三浦雅士氏、芹沢 俊介氏の二人。芹沢 俊介氏の…

三島由紀夫と吉本隆明

『樹が陣営』(佐藤幹夫個人編集)2008年32号に、「三島由紀夫と吉本隆明」の特集がある。そこで社会学者橋爪大三郎氏が「三島由紀夫と吉本隆明」を寄稿している。氏は、青春時代(高校のわが後輩にあたる。反原発の小出裕章氏は、その1年下)に吉本隆明の…

「性善説と性悪説」

まるでNHK大河『平清盛』(『風林火山』以来の出来といえる)で、摂関家藤原頼長(山本耕史)の悪意に気づかず操られてしまう次男平家盛(大東駿介)のように、イランの思惑に乗せられてしまったらしい鳩山由紀夫元首相の〈私的〉外交には、呆れてしまう。ま…

谷崎潤一郎と都市

病気(腸カタル)で下痢が止まらなかった四女妙子の場合はともかく、ようやくもしくは成り行きで婚約整った三女雪子の下痢が治まらないことを結末でしつこく描くところのみ不可解(?)な、谷崎潤一郎の『細雪』については、擬古的生活に沈湎 (ちんめん)する…

高橋甲子男画伯紺綬褒章受章祝いの会

本日4/8(日)は、高橋甲子男画伯の昨年度紺綬褒章受章を、ごく近しい者たちが祝う会が、千葉県市川市京成八幡駅近くの「KAWAKAMI」で催された。「前衛画家が国家から勲章もらってどうするかと、断ったんだけどさ」と、画伯。「いや、時代が高橋画伯に追いつ…

桜と鰻

4/7(土)は、東京神田川沿いの「花まつり」を観て、椿山荘の庭園を見物した。その前に昼食に鰻重をいただいた。あらかじめ予約してあった「石ばし」、ミシュラン一つ星の、このジャンルでは東京でも屈指の名店との誉れ高き店。新進気鋭の弁護士Y氏(嵐・相…

春は出会いの季節

春は出会いの季節である。かつて『月刊国語教育』2002年4月号に掲載されたエッセイ、「出会いの偶然性」を置く。 Deai.pdf (桜) (馬酔木=アセビ) (連翹=レンギョウ) (花海棠・海棠=カイドウ) ⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町に咲く春の花…

軍隊について—ギボンとカント

東北大震災処理をはじめとしたわが自衛隊の活躍および献身には、感嘆するのみである。わが国国防のトップにある人物の優柔不断めいた風貌と言動には落胆するほかはないが、某国のミサイル飛来あればぜひとも撃墜してほしいものである。 シビアな国際情勢のこ…

教育論には要注意

(学校時代、遅刻と忘れ物で拳骨を食らったと語る、女優貫地谷しほりさん) 広田照幸・伊藤茂樹両教育学者共著の『教育問題はなぜまちがって語られるのか?』(日本図書センター)は、教育学への実践的入門書としてまとめられたようであるが、一般的に教育問…

「文化程度」

田島英一慶應義塾大学教授の『弄ばれるナショナリズム』(朝日新書)は、英国のゲルナーという人の、近代国民国家の成立と民衆の「産業戦士」化の因果関連図を応用して、中国におけるナショナリズムについて歴史的に考察した好著である。中国史の知識に乏し…

late bloomer

今年は冬の寒い気候のためだろう、わが庭の花々の開花が遅れている。東京の桜の開花もようやく告げられた。さて、品種として花が咲くのが遅れてしまう花々もあり、これを「late bloomer」と呼ぶようである。 ジェラルド・カーティス(当時)コロンビア大学教…