2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

現代学校教育への提言

家庭教師経験豊富で教育環境設定コンサルタントとかの肩書きの松永暢史(のぶふみ)氏の『この国をダメにした「学校教育」』(主婦の友新書)は、教育関係の資料の掲載に多く頁を割いた、軽い作りの新書。本体価格780円で購入するほどでもない。ユニクロでで…

帝劇の春と秋

今年はひさしぶりに帝劇(帝国劇場)に観劇予定の機会が、春と秋にある。春(5月)は、『エリザベート』。ウィーン初演20周年記念公演とのことである。エリザベートがWキャストで迷ったが、ハプスブルク帝国の皇后という気品とスケールを考えて、すでに定評…

ブルックの『魔笛』鑑賞

3/24(土)さいたま芸術劇場大ホールにて、ピーター・ブルック演出の『魔笛』を鑑賞した。2幕3時間に及ぶ、モーツァルトのこの作品を再構成し、90分に短縮しての上演である。オーケストラはなく、一台のピアノ演奏で、アリアとレチタティーヴォ(語り)と…

これからの職業観

元グーグル米国本社副社長兼日本法人社長であった村上憲郎(のりお)氏の『一生食べられる働き方』(PHP新書)は、本としての軽さはともかく、内容的には、これからの教育について考える上で示唆するところがある。日立電子の技術者として職業人生を出発させ…

公立と私立の共存

瀬川松子さんの『亡国の中学受験—公立不信ビジネスの実態』(光文社新書)は、現代日本の学校教育を考えるときに有益な本となっている。著者は、大学院博士課程に籍を置いているが、進学塾や家庭教師派遣会社などで中学受験の小学生を教えた豊富な経験をもっ…

アメリカの大学

日本の教育を考える上で、アメリカの大学の現状をレポートした、宮田由紀夫関西学院大学教授の『米国キャンパス「拝金」報告』(中公新書ラクレ)は参考になる。私立と州立そして新興の「営利大学」という経営形態のアメリカの大学は、「冷戦当時の米ソの軍…

野村萬斎演出『サド侯爵夫人』観劇

(麻実れい:篠山紀信撮影:プログラムから) 昨日3/19(月)は、東京世田谷パブリックシアターにて、野村萬斎演出の『サド侯爵夫人』の舞台を鑑賞した。3Fの最前列という席での観劇で、高所苦手のこちらとしては芳しくない条件。1FのS席で上を見上げている…

理想の師弟—立川志らく独演会を聴く

一昨日3/16(金)は、東京銀座ブロッサム中央会館にて「立川志らく独演会」を聴いた。落語研究会の月例会への参加。参加数は、12名。香盤は前座なしで、志らくの「転失気(てんしき)」、「中山仲蔵」、「淀五郎」の3演目。「転失気(てんしき)」は、転失…

祈る、ご冥福。

詩人の吉本隆明氏が亡くなられたとのこと、ご冥福を祈りたい。 本ブログで、論及(or紹介)したもの一覧 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20110606/1307337605(2011.6/6) http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20110630/1309401607(2011.6/30) http://d.haten…

manage能力について

映画監督や演出家はdirectorなのに、野球の監督は、どうしてmanagerなのだろうか? (ちなみにサッカーでは、coachだし…。)佐久間治氏の『英語に強くなる多義語二〇〇』(ちくま新書)に答えがある。 ……動詞manageの原義は「手綱をさばいて馬を御する」で、…

「洗脳」からの解放ーカンディードの場合

水林章東京外国語大学教授の『『カンディード』〈戦争〉を前にした青年』(みすず書房)は、古典的作品の読み方を各専門の学者がポイントを絞って講義する《理想の教室》シリーズの一冊である。この著者は、思想史的問題をあまりに現代に引きつけ過ぎる傾向…

災害と宗教

昨年の大地震では、わが家は5弱の揺れに襲われ、庭の松の木の下でどうにかやり過ごした。昔贈られた石灯籠は倒れてしまった。昨年暮れに庭師の方が石灯籠を立て戻してくれ、いまはメジロの番などが訪れ、庭も平安である。 ところで、アメリカ国民および国家…

学力低下をめぐって

ずいぶん前のことであるが、『中央公論』2005年4月号で、「学力崩壊—若者はなぜ勉強を捨てたのか」と題して特集を組んでいる。いま読んでも、幸か不幸か有効な問題提起となっている。この特集は、国語専門塾代表・中井浩一氏がこの企画のまとめ役で、氏の巻…

正しい医療とは

【追記】 2003年8/16李漢栄(Kan-ei,Lee)医師は亡くなったとのこと。5/10の日記に、『★ 転移性食道癌になって良かったこと』と題して「皆さんのご厚情を知ったこと。酒代が減ったこと、罹る前は一日ビール 4Lは飲んでいましたが、今では 1Lも飲めません。そ…

紫煙と女性

昨日3/7の『東京新聞』夕刊「大波小波」欄で、紫煙をくゆらせる文士について述べられていた。 ……嫌煙家は顔をしかめるかもしれないが、太宰に限らず、文士には紫煙がよく似合う。ひとり机に向かって頭を悩ます作家にとって、たばこは不可欠の精神安定剤だっ…

芝居小屋懐旧

Shibaigoya_0001.pdf ⦅『花粉期』252号(1/10発行)掲載⦆⦅写真(解像度20%)は、東京文京区湯島天満宮の白梅・紅梅。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆

二月尽、小満ん・喬太郎を聴く

昨日2/29(水)は、東京銀座ブロッサム中央会館にて、「小満ん・喬太郎の会」を聴いた。落語研究会の月例鑑賞会で、参加は9名。番組は、前座:柳亭市也=元犬、1席:柳家小満ん=雪とん、2席:柳家喬太郎=竹の水仙、仲入り後、3席:柳家喬太郎=(創作…

都倫研創設50周年

http://www.torinken.org/torinken/(都倫研HP) 都倫研(東京都高等学校公民科「倫理」「現代社会」研究会)創設50周年にあたり、記念して『都倫研紀要・第50集』別冊が刊行された。かつて不熱心な会員でしかなかったが、こちらもOBとしてささやかな論考を…