2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

グルジアで思い出すこと

この大相撲秋場所で活躍した臥牙丸 関の出身地であるグルジアについては、その自然地理上および文化地理上の知識がほとんどないが、かつて観た映画と演劇のことは思い出される。映画は、グルジアがまだソ連邦から独立していない時代の作品で、監督はどちらも…

ミーハー的散策

わが家を出てすぐのところの進学塾の入口に「野田佳彦総理のお子さま二人ともわが塾で学ばれました。」とか書いた張り紙が掲示されていた。そういえば愚息が地域少年ソフトボールチームのメンバーでいたとき、小学校の校庭に、当時千葉県会議員であった野田…

市場のイドラ

9/9放送の「全国高校クイズ選手権」で優勝した開成高校生が即答した問題に、フランシス・ベーコンの「四つのイドラ」に関するものがあった。フランシス・ベーコンといえば、「帰納法・経験論・四つのイドラの三項目を結びつければ試験に通るという常識」(19…

キャンティワインとシャブリワイン

昨日9/24(土)は、イオン津田沼店内の「KALDI」にて、ワインを3本購入。キャンティ(Chianti)の「ドン・アンジェロ(Don Angelo)」、シャブリ(Chablis )の「ジャン・ラフィット(Jean Lafitte)」それに、カリフォルニアワインの「レッドウッド・シャ…

志らく演出と室生犀星

「東京新聞」本日夕刊によれば、室生犀星の「性に目覚める頃」の当初のタイトルは、「発生時代」、「或る少女の死まで」のタイトルは、「暗黒時代」だったことが、新たに見つかった自筆原稿でわかったそうである。つまり「幼年時代」を含めて三部作のタイト…

犀星文学の耽美性

10/22(土)広島県呉市「ビュー・ポートくれ」にて、室生犀星学会秋季大会が催されるとのことである。研究発表に一つに、文藝評論家河野基樹氏による「後記 炎の金魚考」がある。氏の「発表要旨」によれば、犀星畢生の小説作品「蜜のあはれ」に附された「後…

静岡の劇場群はだいじょうぶか?

午後5時15分現在台風15号が、わが千葉県にも激しい雨を降らせている。外に出てないのでわからないが、風も相当強いようだ。ただ怯えるばかり。3月の東北の人々の恐怖の、ほんの一端をからだで知ったところ。 東海地域の被災状況はすでに報道されている。静…

宮崎アニメの少女

『樹が陣営(「33号」から「飢餓陣営」)』(発行:佐藤幹夫)というユニークな思想系の雑誌がある。2004年1月刊行26号は、特集の一つとして「性・渋谷・少女」のテーマを追求している。 そのなかの内海新祐氏の少女論は、宮崎駿アニメの「少女」はなぜイヤ…

「人魚の嘆き」

9/14(水)に笠松泰宏作曲・指揮のモノオペラ『人魚姫』の舞台を鑑賞して、谷崎潤一郎の「人魚の嘆き」を思い起こした。 この作品は、わが書庫の一番奥の棚に眠っていた『谷崎潤一郎全集』(中央公論社)の第4巻に収録されている。1冊1500円と表示されてい…

女優について—『渡辺温全集(文庫)』刊行に寄せて

この夏の終わりに、『渡辺温全集:アンドロギュヌスの裔(ちすじ)』(創元推理文庫)が刊行された。まだ入手していないが、2年前の正月発行『花粉期:歳旦譜』に掲載された「女優について」を、この作家に触れたエッセイなので、ここに再録しておきたい。◆…

新聞が「空気」をつくる

◆いわゆる『エヌ・エル・エフ』系の作家であったフランスのドリュ・ラ・ロシェル(1893〜1945)の『空っぽのトランク』(1924年)は、〈私〉が捉えた、青年ゴンザックの生活と行動が描かれた小説である。「二、三の文学サロンの常連」で、職業的には「ある有…

〈残酷童話〉『人魚姫』の舞台

9/14(水)の夜は、上野の東京文化会館小ホールにて、笠松泰洋作曲・指揮のモノオペラ『人魚姫』を鑑賞した。『音楽×空間』シリーズのVol.3にあたる。モノオペラとは、一人芝居のオペラ版のことだそうで、なるほど250歳の老人魚が、少女時代の王子との悲恋の…

寄席はよせ?

昨日は、東京新宿末廣亭に赴く。落語愛好会のお誘いであった。たまたま東京駅で会長のS氏と遭遇、同じ総武線快速に乗っていたとのこと。そのまま同行して、地下鉄で新宿三丁目駅に降り立ち、末廣亭に直行。10月中席昼の部があと2人で終わるタイミング、躊躇…

セレンディピティ(serendipity)について

長く英和辞典の編集に関わっている知己のO氏に、「serendipity」について調べていただいた。こちらの責任で整理すると、以下の通り。『American Heritage College Dictionary 4 2002(アメリカン・ヘリテッジ辞典大学版:米国の、正統派を自認する辞典)』に…

アブダクション(abduction)について

パース(Peirce)の著作は、昔中公『世界の名著48』所収「論文集」中の「現代論理学の課題」を読んだのみであるが、1972〜73年ハーバート大学哲学科客員研究員であった故米盛裕二氏の『アブダクション・仮説と発見の論理』(勁草書房)での、パースの「アブ…

レニ・リーフェンシュタール(Reni Riefenstahl)

昨晩9/9(金)、NHKBSプレミアムの「BS歴史館」で、ナチ政権下で完璧に「美しい」記録映画を撮った、女性監督、レニ・リーフェンシュタールをとり上げていた。昔たしか渋谷のPARCOで、アフリカのヌバ族を撮った写真でその名を知ってから、LDで『意志の勝利』…

新司法試験合格者数

(法務省:2011年5月) 本年度の新司法試験合格者発表が、いよいよ明日午後4時と迫った。受験した人は、どれだけの合格者数になるのか気をもんでいることだろう。昨年は、受験者数8163名、短答式合格者数5773名、最終合格者数2074名だった。今年は、受験者…

官僚の働かせかた

(わが所蔵の、白水社版『ニーチェ全集』&『ルソー全集』) 佐伯啓思京都大学教授の『現代文明論講義』(ちくま新書)は、ニーチェを援用して、現代文明は、統一の崩落、目的の崩落、真理の崩落した、ニヒリズムを特質としているとし、そういう世界での、道…

熊野を想う

台風により、熊野古道の参詣道が寸断され、熊野那智大社の本殿の一部が土砂で埋まってしまったそうである。南紀を中心に、この台風の被害は甚大であるようだ。「被災された方々に、お見舞い申し上げます。」 熊野の地を訪れたのは一度だけであるが、深い印象…

「ピナ・バウシュ&ヴッパタール舞踊団」

今年になって「日本文化財団」からの公演案内のチラシが送られてこないので、いよいよこちらの懐具合がお見通しになったのかと〈諦念〉していたところ、この3月に活動休止・解散していたことを、不覚にもいまごろ知った次第。「日本文化財団」招聘による欧…

三つの木琴の音

(「森の木琴」自然の音)(三村奈々恵さんの、情熱を秘めたマリンバの音) ⦅ピアノの小曽根真(Makoto Ozone)とコラボする、ゲイリー・バートン(Gary Burton)のヴィブラフォン(ヴァイブラフォン:Vibraphone)の音⦆

音楽家ルソー

言葉の音声としての側面に注目すれば、18世紀フランスの思想家ルソー(J.J.Rouseau)の『言語起源論』が先駆的なのであろうか。こちらがかつて読んだものは、小林善彦氏による初訳(1970年:現代思潮社刊「古典文庫」37)。小林善彦氏は、「言語」1972年の9…