左派の衰退

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紫陽花の舞姫

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庭のテッポウユリが咲いてきた

 庭の片隅でテッポウユリが咲きつつある。倒れそうなので例年通り紐でベランダ支柱に結わい付けた。

 

江戸のアイドル美女=笠森阿仙(おせん):荷風『断腸亭日乗』大正8年記事から

 さっそくわが所蔵の荷風断腸亭日乗』(岩波書店全7冊)の一卷を取り出す。たしかに大正8年6/11の日記に、「昨日より梅雨に入りしといふ。夕刻より雷鳴轟轟たり」と記載。面白いのはその「昨日」6/10の記事である。

 一昨日錦水にて臨風子にすゝめられ、餘儀なく笠森お仙碑文起草の事を約したれば、左の如き拙文を草して郵送す。✼臨風子→笹川臨風
   笠森阿仙碑文
 女ならでは夜の明けぬ日の本の名物、五大洲に知れ渡るもの錦繪と吉原なり。笠森の茶屋かぎやも阿仙春信の錦繪に面影をとゞめて百五十有餘年、嬌名今に高し。本年都門の粋人春信が忌日を選びて阿仙の碑を建つ。時恰大正己未(つちのとひつじ)の年夏六月滅法鰹のうめい頃荷風小史識。(.133)✼小史:作家が雅号の下に添える語。 

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 なお荷風が庭に植えて愛でた断腸花とは、秋海棠のことである。

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フリードリヒ・デュレンマット作、五戸真理枝演出『貴婦人の来訪』観劇(6/8新国立劇場小劇場)

 6/8(水)新国立劇場小劇場にて、フリードリヒ・デュレンマット作、小山ゆうな訳、五戸真理枝演出『貴婦人の来訪』を観劇した。ドイツ語圏スイスの劇作家フリードリヒ・デュレンマットのこの作品は、1956年1月チューリヒ劇場で初演大成功を収め、以後世界各地で上演されているとのこと(増本浩子神戸大学大学院教授のプログラム解説による)。物語の展開を語る(あるいは歌う)群衆=コロスを登場させ、ギリシア悲劇を思わせるが、それは形式のみで、運命に抗う英雄の没落の物語ではなく、かつて文化都市として栄えたギュレンの町でセコく恋人を裏切った男アルフレート・イル(相島一之)が、没落して破産寸前となったギュレンに何十年ぶりに大富豪となって戻ったその恋人だったクレール(秋山菜津子)に復讐されるお話。莫大な資金援助をして借金をチャラにしてあげる代わりに、自分を裏切った男=イルの不正(クレールの産んだ子は二人の間の子供ではないと偽証させ、そのためクレールは町を追われて娼婦となるほかなくなった)を正し処刑することを条件とした。「ヨーロッパ的ヒューマニズムに反する」そのような行為は、町長はじめ市民たちは断固拒否するが、次第にツケで贅沢な生活ができることに馴染んでしまい、ついに直接民主主義の集会で不正を糾弾し処刑の判断を下す。市民たちにとって、みな一様に黄色い色に染まった衣装・道具が身近なものとなってしまう。〈同調圧力〉!
 そのかみ自分を侮蔑した町の住民たちがカネに翻弄され、暗黒の心を現わしていく過程を、クレールは残酷な笑みを浮かべて眺め楽しむ。その間夫も次々変えてしまう。このあたりコミカルな展開。牧師も魂の救いを語りながら、結局は市民たちの動きに案外かんたんに乗っかってしまう。最終的にイルは判決に従い、匿名的な集団の扼殺により処刑されるのである。亀田達也東京大学大学院教授の『世界の不安と「沈黙のらせん」』(上演プログラム)の解説する「沈黙のらせん」という沈黙の増幅がつくる〈正義〉によって、イルはなんとなく殺されてしまったということである。ミュージカル風のコロスの歌で幕とするのは、「悲劇的喜劇」に相応しい終わり方。不条理の怖さはそれほど感じなかったが、イル役相島一之の好演もあり、面白い舞台ではあった。ちょっとしたところでは、煙草を吸う場面、出てくるのは煙ではなくシャボン玉、だれもがふつうに演じていて笑わせる。あそび心が買える。
「殺されても、死なないわ」と歌いながら籠(?)で移動するクレールを演じる、円熟の秋山菜津子の魅力爆発の舞台であった。20年ほど前(2001年12月)、tpt制作、デヴィッド・ヘアー作(原作はシュニッツラーの『輪舞』)、デヴィッド・ルヴォー演出の『THE BLUE ROOM』(江東区ベニサン・ピットにて)で、出会う5組の男と女のすべてを内野聖陽秋山菜津子が演じてじつに面白かった。そのときの妖艶な秋山菜津子を思い出したことだった。

 新国立劇場前の花壇:紫陽花「コハン」







 

6/10は路面電車の日:広電路面電車まつりは中止

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新型コロナウイルス感染者数の高止まりが続き、収束が依然として見通せない中で、 来場者ならびに運営スタッフの十分な安全確保が困難であると判断し、2020年・2021年に引き続き開催中止の判断に至りました。(広島電鉄株式会社)

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 広島駅南口のホテルニューヒロデンは、新型コロナウイルス感染症による収益の大幅な減少により、昨年の1/31に閉館している。残念である。

曾我物の歌舞伎『壽(ことぶき)根元曽我』を観ている(1970年1月国立劇場にて)

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 NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』6/12(日)放送の23回は、建久4(1193)年5月富士野の巻狩りを題材にしているエピソードとのこと。曽我兄弟による工藤祐経への敵討ちの事件であるが、敵討ちに乗じて鎌倉殿も暗殺しようとするテロである。このテロは未遂に終わったが、その後頼朝による御家人衆への粛清について、大河ドラマと並行してBSプレミアム『英雄たちの選択』で、「頼朝暗殺未遂!? 曽我兄弟敵討ち事件の深層」と題して取り上げている。巻狩りの実質的責任者の北条時政がその責任を追及されなかったのはどうしてか、やはり粛清すべきだったのか、歴史家の磯田道史さんが杉浦友紀アナの進行に呼応しながら面白く解説していた。曽我兄弟に巻狩りへの通行切手を渡していたのは、曽我五郎の烏帽子親でもあった北条時政だろうし(ただし『壽根元曽我』では工藤祐経)、時政が鎌倉殿暗殺の謀について何らか知らぬはずはなく、全く無関係とも言えないところがあった、ということ。しかし最高実力者の北条時政を粛清すれば頼朝は強力な支えを失ってしまい、また力を得つつあった比企一族との力のバランスを保つためにも時政を優遇したのではなかったか、と磯田氏。
 さて『壽根元曽我』は、あくまでも曽我兄弟による父河津三郎祐安の敵討ちの物語。江戸時代に盛んであった(二系統ある)曾我物狂言の一つ、元禄10(1697)年江戸中村座で初演された『兵(つわもの)根元曾我』を原作とし、利倉幸一が脚本・演出したものである。国立劇場上演筋書に角川源義の『「曾我物語」と歌舞伎』が掲載されている。

 室町時代以後の芸能の世界で活躍するのは、源義経と曾我兄弟である。判官びいき、曾我びいきという国民的感情によるものであろうか。私はその根元に御霊信仰があったからだと思っている。ともに若くして、不幸な横死をとげた結果、当時者やその裔はもちろん、時代の人々は、その怨霊の活動を恐れていた。これが鎮魂の事業として、霊社仏閣がつくられ、鎮魂供養のため『語り物』が語り出された。『義経記』や『曾我物語』が、こんにち、私どもの眼にするような形のものになるには、ながい歳月を必要とした。

(2代目尾上松緑

(12代目市川團十郎

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空想特撮映画『シン・ウルトラマン』を観た

 6/4(土)千葉県八千代緑ヶ丘のシネマコンプレックス、TOHOシネマズ八千代緑が丘、スクリーン1にて、樋口真嗣監督の『シン・ウルトラマン』を観た。長男父子に合流しての映画鑑賞。1:禍威獣ネロンガ、2:禍威獣ガボラ、3:外星人ザラブによるウルトラマン抹殺計画、4:外星人メフィラスによる、ベータシステムを使用した地球占有計画、5:光の星からの使者ゾーフィは、人類すべてが生物兵器への転用可能であることが知られてしまった以上地球は廃棄処分するほかないと告げ、最終兵器ゼットンを配置、ウルトラマンは闘いで敗北するが、特設対策室メンバーの知力を結集、反撃に成功。
 キャスティングは、ウルトラマン=禍威獣特設対策室専従班作戦立案担当官神永新二:斎藤工、特設対策室同分析官浅見弘子:長澤まさみ、特設対策室同非粒子物理学者滝明久:有岡大貴、特設対策室同汎用生物学者船縁由美:早見あかり、特設対策室室長宗像龍彦:田中哲治、特設対策室専従班班長田村君男:西島秀俊、メフィラス:山本耕史内閣総理大臣大隅泰司:嶋田久作、防災大臣小室肇:岩松了など、怪獣映画ものに相応しい面子が揃った。内閣総理大臣役が嶋田久作というのも笑ってしまう。神永のバディ分析官に、インディードCMつながりで泉里香というキャスティングも面白かったかも。むろん長澤まさみはとぼけた味が出せて魅力的ではある。いちばんインパクトがあったのは、メフィラスの山本耕史NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の三浦義村も、今後メフィラス外星人に見えてしまう。
 音楽担当は鷺巣詩郎で、主題歌「M八七」は米津玄師。音響効果とともに、音の迫力・魅力も映画館での鑑賞ならでは、である。

 映画終了後、シネマコンプレックス近くのイタメシの店パッソノヴィータ(PASSO NOVITA)で夕食を楽しんだ。こちらは、イタリア赤ワイン、コリバンテ・サレントをグラス2杯いただいた。楽しい一日であった。孫のKくん(小4)も物語は大人向けの展開ではあっても、ウルトラマンの戦闘場面多く満足できたとのこと、よかった。

 

(わが所蔵のフジ・アキコ隊員=桜井浩子さまサイン入り写真)

 なおウルトラマンメフィラス星人が一緒に呑みに入った浅草の居酒屋一文は、昔浅草仲見世の玩具の老舗TOYSテラオの先代主人の招待にて呑んだことがある。不思議な縁で、テラオのお嬢様がわが実家向かいの寺に嫁いでいる。

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