17歳のキムタクを観ている




 キムタク(木村拓哉)17歳の初舞台を観劇している。1989年12月日生劇場公演、唐十郎作、蜷川幸雄演出の『盲導犬』の舞台である。桃井かおり財津一郎、壌晴彦、不破万作、大門伍朗など力ある共演者とともに、演出家蜷川幸雄が、『唐版滝の白糸』(1989年3月日生劇場公演)で岡本健一を起用したのに続いて、同じジャニーズ事務所所属、SMAPのメンバーで当時17歳の木村拓哉を抜擢している。
 日生劇場には、大勢の少女ファンが押しかけてきて、客席は終始騒がしく、ついに財津一郎さんが役を傍らに置いて「君たち、芝居を観ている人に失礼ではないか。静かに観ていなさい!」と一喝してしまった。そのことがいちばんの思い出として記憶されている舞台であった。パンフレットの映画・演劇評論家萩尾瞳氏の記事では、このアイドル俳優について、「気持ちよく通る声、しなやかなからだ。舞台の上を伸びやかに動く彼は、17歳らしいみずみずしさを保ちつつ、一方では17歳とはおもえないほど確かな演技を見せる」と評している。また「相手役のせりふをテープに吹き込み、ウォークマンで常に聞くという方法も取った」という工夫と努力もしたらしい。SMAPのキムタクでなくとも、もはやいいのではないか。あのときのファンたちは、いまどうしているのだろうか。




 なお直接関連したことではないが、ジャニーズ事務所副社長のメリー喜多川さんの夫は、作家の故藤島泰輔で、この作家の別れた前妻は、俳人高濱年男の娘高濱朋子、つまり高濱虚子の孫である。
 http://kingendaikeizu.net/geinou/johnnys.htm#touyousya(「近現代系図ワールド:ジャニー喜多川メリー喜多川系図」)
 高濱朋子の句集『おそき船出に』について、次のところで紹介されている。
 http://ht-kuri.at.webry.info/201407/article_4.html(「栗林浩のブログ:『おそき船出に』共鳴句抽出」)